Article ヘテロクロマチンやRNAiの調節を受ける分裂酵母ゲノムのエピジェネティックな制御についての包括的な解析 2005年8月1日 Nature Genetics 37, 8 doi: 10.1038/ng1602 真核生物のゲノムが識別可能な構造ドメインや機能ドメインから構成されていることは、遺伝情報の調節や伝達に重要である。本論文では、分裂酵母ゲノムのヘテロクロマチンプロファイルとユークロマチンプロファイルを詳細に調べ、ゲノム構成におけるRNA干渉(RNAi)の役割を検討した。ユークロマチンを特徴づける4番Lysがメチル化されたヒストンH3は、染色体構造の大部分にわたって散在していただけでなく、動原体の構築される場所であるセントロメアコアにも存在していた。その一方、ヘテロクロマチンに特徴的な9番Lysメチル化ヒストンと、このヒストンと相互作用しているタンパク質Swi6/HP1は、減数分裂特異的に発現する遺伝子に対応している反復配列や小型アイランドに関連した広範なドメインでも見られた。特に、RNAiにかかわる構成要素はヘテロクロマチンドメインの至るところに分布しており、その所在はClr4/Suv39hヒストンメチルトランスフェラーゼによって決まる。RNAiのエフェクターであるRITS複合体RNAiに結合した低分子干渉RNA(siRNA)の配列解析から、siRNAのホットスポットが特定され、ホットスポットはこれらのRNAi-ヘテロクロマチンドメインで見られるさまざまな配列要素にマッピングされた。我々は、Clr4/Suv39hが主に反復配列の転写を抑制することを発見した。このとき抑制を受ける反復配列の転写産物は、RNAポリメラーゼ?によって転写されるもので、siRNAの供給源としての役割を果たしている。本解析はまた、ゲノムを完全な状態に維持するに際してRNAiが作用する機構の重要な役割を明らかにするものである。 Full text PDF 目次へ戻る