Letter 脊椎動物の平面内細胞極性(PCP)経路による、蝸牛における極性化した伸長とPCPの調節 2005年9月1日 Nature Genetics 37, 9 doi: 10.1038/ng1622 哺乳類の聴覚器官であるコルチ(Corti)器管は、表層側に同じ向きをとる不動毛をもつ感覚有毛細胞から構成され、感覚上皮に沿って特徴的な平面内細胞極性(PCP)を示す。分化の過程において、この極性がどのように完成されるのは明らかでない。本論文で我々は、コルチ器官が肥厚で短尺な分裂終了原基から、収斂伸長(convergent extension)として知られる細胞同士の挿入(インターカレーション)に特徴的な、細胞が一方向へと伸長することによって形成されることを示す。PCP経路における変異はこの伸長を妨害するため、蝸牛が短く幅広となり、不動毛の生え方も一様でなくなる(極性を失う)。さらに、ショウジョウバエDrosophila melanogasterにおける相同な経路と同様に、哺乳類のPCP構成因子Dishevelled2は、コルチ器官全体に及ぶ、PCP依存的に極性化した細胞内局在を示す。したがって、これらのデータは、無脊椎動物と脊椎動物のPCP経路に共通の分子機構が存在することを示唆し、哺乳類のPCP経路によって、蝸牛における細胞同士の挿入とPCPの形成が直接的なつながりを持つ可能性を示している。 Full text PDF 目次へ戻る