Letter 体細胞核移植によるクローン作出には成体幹細胞よりも分化した細胞が効率において勝る 2006年11月1日 Nature Genetics 38, 11 doi: 10.1038/ng1895 体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer, SCNT)によってドリーが作製されて以来、10数種の哺乳動物のクローンがこの核移植技術を用いて作出されている。SCNTによるクローン動物の作出の成功率の低さ(1%~5%)を説明する仮説の1つは、クローン動物が成体幹細胞由来と考えられるというものである。この仮説の裏づけは、生殖クローン作製の効率が、核のドナーが体細胞のときよりも胚性幹細胞のときのほうが、5倍から10倍高いこと、および、分化したB細胞やT細胞もしくは神経細胞由来のクローン胚からは、クローン仔を直接作出することができないという知見にもとづく。完全に分化した体細胞から、SCNTによってクローン動物が作出される可能性があるかどうかについては、いまだ明らかになっていない。我々はこの仮説を、造血系の幹細胞、前駆細胞、顆粒球という、分化段階の異なるマウス造血細胞を用いて検討した。その結果、クローン作製の効率は階層的分化を経るにしたがって増大し、最終的に分化して分裂を終了した顆粒球が、最も高い率でクローン仔を生じることを見いだした。 Full text PDF 目次へ戻る