Letter 骨格筋の増殖と分化におけるマイクロRNA-1とマイクロRNA-133の役割 2006年2月1日 Nature Genetics 38, 2 doi: 10.1038/ng1725 発生生物学において、細胞の増殖と分化を調節する分子メカニズムを理解することは中心的なテーマである。マイクロRNA(miRNA)は、約22塩基からなる調節性RNAクラスの1つであり、転写後の遺伝子発現を調節する。種々の生物学的過程におけるmiRNAの潜在的役割について示す証拠が増えてきている。本論文では、miRNA-1(miR-1)とmiRNA133(miR-133)が、同じ染色体上にクラスタをなして存在し、発生の過程で組織特異的に、一緒に転写されていることを示す。miR-1とmiR-133は、骨格筋の増殖と分化を調節する上で異なる役割をもつことが、培養筋芽細胞を用いたin vitroの実験と、アフリカツメガエル胚を用いたin vivoの実験の両方で示された。miR-1は、筋肉の遺伝子転写を抑制するヒストン脱アセチル化酵素4(HDAC4)を標的とすることにより、筋肉分化を促進する。これに対してmiR-133は、血清応答因子(SRF)を抑制することにより、筋芽細胞の増殖を促す。我々の結果は、同じmiRNAポリシストロンに由来し、一緒に転写される2つの成熟miRNAが、異なった生物学的機能をもつことがあることを示している。以上より、我々の研究は、骨格筋の遺伝子発現と胚発生を調節する転写回路にmiRNAが参加するという分子メカニズムを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る