Letter Gnasクラスターの全転写産物に影響を及ぼすインプリンティング制御領域の同定 2006年3月1日 Nature Genetics 38, 3 doi: 10.1038/ng1731 ゲノムインプリンティングは、対立遺伝子が父親由来であるか母親由来であるかに応じて特異的なサイレンシング(発現抑制)を引き起こす。サイレンシングは、配偶子形成過程においてメチル化に差があるインプリンティング制御領域(ICR)によってもたらされる。マウスGnasクラスターを構成する遺伝子(Nesp、Nespas、GnasxI、Exon 1A、Gnas)のインプリンティングを受ける転写産物の一群は、インプリンティング制御機構を分析するための格好のモデルとなる。我々は以前、Gnas遺伝子の組織特異的なインプリンティングによる発現を厳密に調節するICRを同定した。今回我々はGnasクラスターのもう1つのICRを見つけた。我々は、アンチセンスNespas転写物に付随する、生殖細胞系列でのメチル化に差がある領域(DMR)を標的にした遺伝子欠失を作製すると、欠失が父親由来である場合には予想と異なり、クラスターのすべての転写産物の発現と2つのDMRのメチル化の両方に影響を及ぼすことを示す。この研究結果は、NespasDMRがGnasクラスターの主要なICRであり、相反した作用を示す遺伝子であるGnaxIとGnasの発現を調節するスイッチとして両方向に機能することを証明するものである。他に類のないことに、NespasDMRはExon 1Aにある下流ICRに作用して、Gnas遺伝子の組織特異的インプリンティングを制御している。 Full text PDF 目次へ戻る