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実験的な細菌集団における、選択に先んじて存在する有利な突然変異の適応度効果の分布

Nature Genetics 38, 4 doi: 10.1038/ng1751

ある集団が適応進化を経て祖先集団からどの程度分岐するかは、新たに生じた有利な突然変異がもたらす変化によって決まる。これまでの研究を土台にした最近の理論によると、自然選択の生物学的な詳細にあてはまると思われる2つの予測が立てられる。すなわち、選択に先んじて存在する有利な突然変異の適応度効果は、(i)指数分布かつ(ii)不変分布を示すとされている。これは、この適応度効果が野生型対立遺伝子の適応度にかかわらず常に指数分布を示すことを意味する。本論文ではこれらの予測を、665の、蛍光菌Pseudomonas fluorescensにおいて別々に得られた一段階突然変異のさまざまな環境下における適応度を分析することで検証する。野生型の適応度には一連の環境下で顕著な違いがあるにもかかわらず、有利な突然変異の適応度は指数関数に類似した分布を示していた。この結果は、適応進化の最初の段階である、自然選択によって選び出された新規の有利な突然変異の発生が、通常、小さな効果をもつ多数の突然変異と大きな効果の数少ない突然変異からなるほぼ指数関数的な適応度分布を特徴とすることを示唆している。また、抗生物質耐性に関する多面発現のコストにかなりの違いの生じることが明らかになった。この結果は、動物集団やヒト集団における耐性病原菌の撲滅を目的とした計画に影響を及ぼすと考えられる。

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