Letter 一般的な皮膚疾患と関連する遺伝子多型 2006年4月1日 Nature Genetics 38, 4 doi: 10.1038/ng1767 Nature Geneticsの4月号に掲載される研究論文では、フィラグリンをコードする遺伝子の変異が、アトピー性疾患の発症リスクと関連していることが明らかにされている。アトピー性疾患には、アトピー性皮膚炎(湿疹、皮膚の炎症、皮膚のかゆみ)、アレルギー、喘息が含まれる。 フィラグリンが変異すると、尋常性魚鱗癬(さめ肌)という皮膚疾患が起こることは、ダンディー大学(英国)のIrwin McLeanたちによって既に明らかにされていた。フィラグリンは、皮膚の構成成分で、アレルゲンや毒素、感染性生物の侵入を防ぐ役割がある。 尋常性魚鱗癬の患者の多くがアトピー性皮膚炎にもかかっていることに注目したMcLeanたちは、今回の研究で、一般人口においてフィラグリンの変異がアトピー性皮膚炎の発症リスクに与える影響を調べた。研究対象となった各コホートにおいては、アトピー性皮膚炎とそれに併発する喘息の亜型の発症リスクが相当に高いこととフィラグリンの機能喪失との関連性が確認された。ただし、皮膚炎とは無関係に喘息を発症するリスクとフィラグリンの機能喪失には関連性が認められなかった。フィラグリンの機能が失われると、皮膚のバリア機能が損なわれ、病気の引き金となるアレルゲンが皮膚を通して体内に侵入しやすくなることが、今回の論文で示唆されている。 先進国では、アトピー性疾患の患者が人口の約20%を占めている。研究対象となった2種類のフィラグリン遺伝子の多型は、ヨーロッパ系人口の9%に見られる。 Full text PDF 目次へ戻る