Technical Report 植物の代謝の遺伝学 2006年7月1日 Nature Genetics 38, 7 doi: 10.1038/ng1815 植物では代謝物の構成および含有量にばらつきが認められる場合が多い。しかし、このばらつきがどの程度遺伝的なものであるのかはほとんど知られていない。本研究では、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の代謝物構成で自然に生じているばらつきを遺伝学的に解析した。特定の代謝物に注目するのではなく、液体クロマトグラフィー-飛行時間型質量分析法(LC-QTOF MS)による実験的な非標的メタボロミクスを応用した。これにより、シロイヌナズナの代謝物の蓄積に関してはアクセション間に質的および量的な差が種々発見された。分析した全14アクセションに共通して検出された質量ピークは13.4%にすぎなかった。最も大きく異なる2アクセションに由来する組換え近交系(RIL)集団で検出された2000を超える質量ピークの量的形質遺伝子座(QTL)解析により、質量シグナルの約75%に関してQTLを同定することができた。シグナルの3分の1超はいずれの親株でも検出されず、代謝物構成は通常の交配で変化する可能性が大きいものと考えられた。 Full text PDF 目次へ戻る