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染色体17q21.3のMAPTを含む微小欠失は発育遅延および学習障害に関連する

Nature Genetics 38, 9 doi: 10.1038/ng1858

近年、アレイにもとづく比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH)の活用により、精神遅滞や形成異常の特徴をもつ人に染色体不均衡が検出される頻度が増してきた。本論文では、学習障害のある3人について報告し、その3人それぞれにおいて、アレイCGHにより染色体17q21.3でのヘテロ接合性の欠失を検出したことを述べる。FISH解析により、ヘテロ接合性の欠失は、各人においてde novo欠失として生じ、大きさは500 kbと650 kbの間であることがわかった。先祖型のH1およびH2ハプロタイプ間の組換えを抑制する900 kbの逆位が最近報告されているが、この逆位にはこの欠失が含まれている。我々は、3人それぞれについて、本人と両親の3人を1組(トリオ)として解析を行い、欠失が起こった17番染色体は、少なくとも1つのH2ハプロタイプの染色体をもつ親に由来することを見いだした。17q21.3のこの領域は、よく知られた低頻度反復配列(low-copy repeats、LCR)が存在する複雑なゲノム構造を示す。逆位型のヘテロ接合体において欠失が起こる部分の両側にあるLCRの方向が、非対立遺伝子間相同組換えによってこの微小欠失の発生を促進するようである。

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