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マラリア:熱帯熱マラリア原虫のゲノム変異と進化

Nature Genetics 39, 1 doi: 10.1038/ng1931

熱帯熱マラリア原虫Plasmodium falciparumの感染によって全世界で毎年100万人以上が死亡している。熱帯熱マラリア原虫の進化の過程や遺伝的変異を解明することは、原虫が薬剤耐性を獲得する過程を明らかにしたり、有望なワクチン候補を特定したり、また、ヒトにおけるマラリアの有病率や重症度に対して原虫の遺伝的変異が及ぼす影響を正しく評価したりするうえできわめて重要である。熱帯熱マラリア原虫にみられる自然発生的な遺伝的変異についての研究はほとんどの場合、ゲノムの小さな領域(最大で短い染色体のサイズ)の詳細な解析か、全ゲノムを対象とするが低分解能の解析のどちらかであった。我々はこうした研究を補完する目的で、熱帯熱マラリア原虫のガーナ臨床分離株(配列カバー5倍)とIT実験室分離株(配列カバー1倍)、およびチンパンジーのマラリア原虫P. reichenowi (配列カバー2倍)に対してショットガン法による全ゲノム塩基配列決定をおこなった。そして、これらの塩基配列を、塩基配列が完全解読された熱帯熱マラリア原虫の分離株3D7のゲノム配列と比較した。本論文では、熱帯熱マラリアの遺伝的多型と適応進化が示す最も際立った特徴を、遺伝子機能、転写産物およびタンパク質の発現、細胞内局在に関して述べる。この比較解析によって、熱帯熱マラリア原虫とチンパンジー・マラリア原虫との間の生物種分化以後に起こった進化過程での一次的な遺伝子変化と、熱帯熱マラリア種内で現在起きている遺伝子変化の存在が明らかになった。

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