Letter 概日リズム:インプリンティング遺伝子Magel2は正常な概日リズム出力系を維持している 2007年10月1日 Nature Genetics 39, 10 doi: 10.1038/ng2114 哺乳類における活動の概日リズムは視交叉上核内部(SCN)で発振される。プラダー-ウィリー症候群に関連する染色体領域に位置決定されているMagel2遺伝子は、インプリンティングを受け、父親由来のゲノムからのみ発現するが、Magel2の転写産物はSCN内に高いレベルで存在する。そして、Magel2のmRNAは概日リズムにしたがって発現しており、主観的昼の時期に頂点に達する。Magel2の発現を欠くマウスは光(明暗)サイクルに同調し、正常な輪回し行動のリズムを示すが、その活動の振幅は顕著に小さくなり、日中の活動が活発になる。こうした変化は摂食量およびオスの生殖能力の低下をともなっている。さらにこのマウスでは、オレキシン量の大幅な低下と、視床下部外側野のオレキシン感受性神経細胞の減少がみられる。この結果は、Magel2の欠損による影響の一部がオレキシンのシグナル伝達での変化を介するものであることを示唆している。SCNにおけるMagel2発現の周期性が堅牢なものであり、そのヌル変異マウスでは行動の周期性が変化することから、Magel2が体内時計に制御された概日リズム出力系の遺伝子であり、その遺伝子破壊によってPWSに特徴的な表現型の一部が引き起こされることが明らかになった。 Full text PDF 目次へ戻る