Article 遺伝子発現と集団遺伝学:ヒト遺伝子発現の集団ゲノム学 2007年10月1日 Nature Genetics 39, 10 doi: 10.1038/ng2142 遺伝的変異 (genetic variation) は遺伝子発現に影響を与え、また、この遺伝子発現の変異は、特定のゲノム領域や変異体として効率的にマップされうる。本論文では、ハップマップコンソーシアムで遺伝子型決定された270人すべてについて、エプスタイン・バーウイルスによって形質転換させたリンパ芽球様細胞株を樹立し、作成した遺伝子発現プロファイルを使用して、遺伝子発現の変異の原因となる遺伝的な違いを詳細に解明した。我々は、遺伝子発現は遺伝性で、集団間の差異はこれまでの小規模研究に一致することを見いだしている。集団あたり220万以上の共通SNP(ハップマップの5%頻度)と遺伝子発現との関連解析を詳細に行うことによって、少なくとも 1,348遺伝子がシスに機能するシグナルと関連し、少なくとも180遺伝子がトランスに機能するシグナルと関連することを明らかにした。少なくとも1つの独立した集団で、シスシグナルの37%およびトランスシグナルの15%の再現性がそれぞれ得られた。我々の結果は、ヒトゲノムではシス調節性の変異が豊富であることを強く裏付けている。トランス効果は限局して検出されるが、調節性の変異は、ヒトでは表現型の変異に寄与する主要な一次効果である可能性が示唆される。また我々は、現在の遺伝子発現の変異の解析を改善するいくつかの手法も研究している。 Full text PDF 目次へ戻る