Article プロテオーム:酵母プロテオームのばらつきを決定する遺伝子の位置 2007年11月1日 Nature Genetics 39, 11 doi: 10.1038/ng.2007.22 タンパク質量が適切に調節されていることは健康な状態にあるために不可欠であり、タンパク質量の異常は多くの疾患で見られる特徴である。最近行われたいくつもの研究から、生物種内の個体間でメッセンジャーRNA(mRNA)の量には差があり、遺伝的連鎖解析によってmRNA量に影響を及ぼす量的形質遺伝子座を同定することが可能であることが示された。一方、遺伝的多様性を示す集団でタンパク質量の変動を生じさせる遺伝子の位置については、ほとんど知られていない。この理由は主に、タンパク質の存在量の大規模計測の技術が転写産物のそれに対してはるかに立ち遅れているからである。本論文では、細胞内総タンパク質(未分画)を対象にした、質量分析による無標識タンパク質定量法について述べる。そしてこの手法によって、2つの異なる酵母菌株を交配させて得られた菌株における、タンパク質量のばらつきの原因となる遺伝子の存在領域が明らかになった。タンパク質の存在量に影響を及ぼすこの遺伝子座は、転写産物量を左右する遺伝子座とは異なっていた。この事実は、プロテオームを直接解析することの重要さを強調するものである。 Full text PDF 目次へ戻る