Article 細菌ゲノム:バルトネラ(Bartonella)菌のゲノム解析によりIV型分泌系が宿主適応の因子であることが明らかになる 2007年12月1日 Nature Genetics 39, 12 doi: 10.1038/ng.2007.38 細菌のバルトネラ属(Bartonella)は、21の病原菌で構成されており、赤血球内感染を引き起こすことを特徴とする。Bartonella bacilliformisは、先祖菌系統である重症の病原性細菌であるが、他の種は放射状に種分化して進化した良性の病原菌である。本論文では、比較および機能ゲノミクスを用い、これらの放射進化系統に特異的な病原性遺伝子を推測する。また、これらの遺伝子が宿主環境への適応を促進した可能性について示す。我々は、ショットガン・シークエンシング法によってBartonella tribocorumの完全なゲノム配列を決定し、背番号付き変異誘発法(signature-tagged mutagenesis)による機能の検討によって、97の病原性遺伝子を同定した。81の病原性遺伝子が、B.tribocorum、Bartonella henselaeおよびBartonella quintanaのゲノム比較から推測された放射進化系統のコアゲノム(1,097遺伝子)に属している。66の病原性遺伝子がB. bacilliformisに存在しており、また、1病原性遺伝子が欠失によって失われている。放射進化系統に特異的な14の病原性遺伝子が、水平方向に獲得された2つのIV型分泌系をコードしている。このことは、これらの系が宿主適応で役割を担っていることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る