Letter ミトコンドリア:ミトコンドリアのボトルネックは雌生殖細胞のmtDNA含有量の減少をともなわずに起こる 2007年3月1日 Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1970 ミトコンドリアDNA(mtDNA)のもつ変異が世代間で速やかに移行するという知見から、ボトルネック説が提唱されるようになった。有力な仮説は、卵子形成初期におけるmtDNA量の激減により、ボトルネックが引き起こされるというものである。この仮説を検証するために、マウス初期胚の単一生殖細胞および単一体細胞において、mtDNAのコピー数を測定した。始原生殖細胞(PGC)では、その発達段階全体にわたって、DNAコピー数の変動はあまりなかったが、第一次卵母細胞では、卵母細胞の成熟初期においてかなりのmtDNA量の増加がみられた。さらに、一部の体細胞のmtDNAコピー数はきわめて低かった。また、PGCの細胞あたりのミトコンドリア数は、100を超えることがわかった。これらのことから、ミトコンドリアのボトルネックが、卵子形成初期におけるmtDNAのコピー数の急激な減少にはなく、むしろマウス生殖細胞におけるmtDNAの分離単位(segregation unit)の実効数の小ささに起因していると結論する。本研究成果は、mtDNA分離モデルおよびmtDNA疾患の発症リスクの解明のための新たな知見となるものである。 Full text PDF 目次へ戻る