Letter 癌:ヒトの腫瘍における癌遺伝子突然変異のハイスループットプロファイリング 2007年3月1日 Nature Genetics 39, 3 doi: 10.1038/ng1975 腫瘍発生および進展にともなう遺伝子変化を解明するための組織的な研究努力が進行中である。ところが、得られた情報を臨床に広く応用することは、各種の癌で生じる遺伝子の重要な変化を適切な感度ならびにスケールアップで同定することができないために、十分おこなわれているとはいいがたい。本論文では、遺伝子多型のハイスループット検出法を応用し、1,000のヒト癌サンプルを対象に238の既知の癌遺伝子の突然変異の検索をおこなった。このアプローチによって、17種類の癌に共通してみられる突然変異の存在が明らかになった。分析した17の癌遺伝子のうち14は少なくとも一度は突然変異を生じ、298のサンプル(全サンプルの30%)は最低1つの突然変異をもつことが明らかになった。さらに、数種類の癌で、これまで確認されていない癌遺伝子突然変異を同定し、また、同時に起こる突然変異の数が予想外に多いことが判明した。本研究成果は、癌遺伝子研究に新たな局面を開くものである。すなわち、このアプローチによれば、複数の癌遺伝子に関係する突然変異に関する情報から、同時に、そしてリアルタイムに、癌の分類およびその合理的な治療法についての情報を得ることができると期待される。 Full text PDF 目次へ戻る