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変形性関節症の感受性遺伝子:GDF5の5' UTRに存在する機能的遺伝子多型は変形性関節症への疾患感受性に関連する
Nature Genetics 39, 4 doi: 10.1038/2005
変形性関節症(MIM 165720)は、関節軟骨の変性を特徴とする、最も頻度の高いヒトの関節炎で、高齢化社会に向けての大きな懸案事項となっている。疫学的および遺伝学的研究によって、変形性関節症は多因子遺伝性疾患であることが明らかにされている。本論文では、増殖分化因子5(GDF5)をコードしている遺伝子が変形性関節症の疾患感受性に関連していることを報告する。GDF5の5' UTR(非翻訳領域)に存在するSNP(一塩基多型)は、2つの別個の日本人変形性股関節症集団で有意な関連(P= 1.8×10-13)を示した。この関連は、日本人(P=0.0021)および漢民族系中国人(P=0.00028)の2つの変形性膝関節症集団に対しても観察された。GDF5のコアプロモーター領域に存在するこのSNPは、遺伝子転写活性の対立遺伝子ごとの違いを生み出し、疾患感受性対立遺伝子ではGDF5転写活性が低下する。本研究結果は、GDF5は変形性関節症の原因遺伝子で、GDF5の発現の低下が変形性関節症の病態に関与していることを示唆するものである。