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ゲノム機能解析:イネいもち病菌の病原遺伝子に関する全ゲノム的な機能解析

Nature Genetics 39, 4 doi: 10.1038/ng2002

ゲノム配列を意味のある生物学的情報に短時間で変換するためには、さまざまな実験法およびインフォマティクス的方法を一体的なプラットフォームに統合することが必要である。ゲノム配列は爆発的な数が利用可能となっているが、糸状菌に関してはそのようなプラットフォームが存在しない。本論文では、モデル植物病原菌であるイネいもち病菌(Magnaporthe oryzae)用の機能ゲノミクス的、インフォマティクス的なプラットフォームを開発し、これを使用したことを示す。Agrobacterium tumefaciensによる形質転換を利用した大規模な挿入変異導入により、変異株が合計21,070種類得られた。また、処理能の高い表現型スクリーニングパイプラインにより、この菌の生活環を支配する表現型7個の破壊が検出され、各変異株がもつ変異遺伝子および変異の本質が明らかにされた。変異株の表現型と遺伝子型を比較解析することにより、新たな病原性遺伝子座が202個発見された。今回の知見は、我々のプラットフォームの有効性を示しており、真菌の病原性の分子基盤に関する新たな洞察を生むものである。この方法による糸状菌その他の包括的機能ゲノミクスの進展が期待される。

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