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葉の形態形成:トマトの複葉の発達にはmiR319によるLANCEOLATEの調節が必要である
Nature Genetics 39, 6 doi: 10.1038/ng2036
植物では、葉の大小および形状に著明な可塑性が認められる。古くから知られている不完全優性変異のLanceolate(La)では、トマト(Solanum lycopersicum)の大きな複葉が小さく単純な葉に変化している。本研究では、miR319結合部位を含むTCPファミリーの転写因子がLAにコードされていることを明らかにする。独立した5株のLaは機能獲得対立遺伝子をもつ。これはmiR319結合部位内の点変異として生じたものであり、マイクロRNA(miRNA)による抑制に対する部分的抵抗性をLaの転写物に与える。miRNA調節に対する感受性が低下すると、ごく若いLaの葉原基でLAの発現が亢進し、葉縁の分化が早発する。逆に、miR319を異所的に発現させて複数のLA様遺伝子の発現を減少させると、葉が大きくなるとともに葉縁に連続的成長が認められた。今回の結果から、miR319によるLAの調節は、葉縁発達時の形態形成反応能に関する柔軟性を規定しており、そのことが精密な葉の形成に必要とされているものと考えられる。