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マイクロRNA:進化上保存されているマイクロRNAモジュールはペチュニアPetunia hybridaとキンギョソウAntirrhinum majusの花器官形成決定に対するホメオティックな制御に影響を及ぼす
Nature Genetics 39, 7 doi: 10.1038/ng2056
植物のマイクロRNA(miRNA)とその標的が系統発生上きわめて高度に保存されていることから、その制御機能も保存されていると一般に考えられている。本論文では、類似したホメオティックな表現型を示すペチュニア<I>Petunia hybrida</I>のblind(bl)変異体とキンギョソウAntirrhinum majusのfistulata (fis)変異体が、2つの相同な、miRNAをコードしている遺伝子の劣性対立遺伝子であることを示す。BL遺伝子およびFIS遺伝子は、ホメオティック遺伝子であるクラスC遺伝子の発現を花器官の同心円的な配置(whorl)の内側に空間的に制限するように制御するが、それら自体は早期の花器官のいたるところで発現しており、クラスC遺伝子発現におけるパターン形成というその役割に矛盾する。本論文では、MIRFIS およびMIRBLの花器官中心部における意外な機能についての遺伝学的な証拠を示し、その制御上の役割のもととなる動的機構を提示する。注目すべきは、さらに遠縁の生物種であるシロイヌナズナArabidopsis thalianaでは、このmiRNAモジュールが存在するものの、クラスC遺伝子の早期の発現を花器官の中心部に制限する機能は果たしていないと思われることである。