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マイクロRNA:マイクロRNA活性の新しい調節機構として標的の模倣がある

Nature Genetics 39, 8 doi: 10.1038/ng2079

マイクロRNA(miRNA)は、動植物の発達や生理的機能の重要な局面を制御している。これらの調節RNAは、配列の相補性にもとづいて特定のmRNA配列を認識することにより、複合体が特定のmRNAに対して機能を発揮するためのガイドとして働き、結果として翻訳抑制や部位特異的切断が引き起こされる。植物では、ほとんどのmiRNAの標的に切断が起こり、切断部位の周辺の配列は、miRNAの配列とほとんど完全に相補的である。本論文では、シロイヌナズナのタンパク質非コード遺伝子であるIPS1INDUCED BY PHOSPHATE STARVATION1)について調べた。IPS1は、リン酸塩(Pi)欠乏状態で誘導されるmiRNAであるmiR-399と相補的な配列をもつモチーフを含んでいるが、その対形成は、予測されたmiRNA切断部位において形成されるミスマッチのループによって阻害される。我々は本論文で、IPS1RNAに切断は起こらず、そのかわりにmiR-399を抑制することを示す。したがって、IPS1を過剰発現させると、miR-399の標的であるPHO2 mRNAが増加し、同時に苗条のPi含有量が減少した。遺伝子工学的に、IPS1が切断されるように変更すると、miR-399を抑制する効果は消失した。我々は、このmiRNA活性の抑制の機序を表現する言葉として「標的模倣」を提唱する。人工的な標的模倣を使って示されたように、標的模倣はPi恒常性の制御にかぎらず、一般的なものである。

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