Letter mRNAと精神遅滞:ナンセンスコドンによるmRNA分解複合体の一因子であるUPF3Bの変異により、症候性および非症候性の精神遅滞が生じる 2007年9月1日 Nature Genetics 39, 9 doi: 10.1038/ng2100 ナンセンスコドンによるmRNAの分解(NMD)は、生物学的に普遍的な重要性をもつ。全般的なRNA、DNA、翻訳調節経路に重要であることが明らかになってきたからである。X連鎖性精神遅滞の250家系において、ヒトX染色体上にある737遺伝子(脊椎動物ゲノム注釈データベースで注釈されたもの)を系統的に塩基配列決定することによって、ナンセンス転写産物ホモログB(酵母)のUPF3調節因子(UPF3B)の変異により3家系においてタンパク質の切断が起こっていることを見いだした。そのうち2つはルジャン-フリン形質を示し、残りはFG形質であった。我々はまた、非症候性の精神遅滞の別の家系においてミスセンス変異があることを見いだした。3つの変異は未成熟な終始コドンをもたらし、変異UPF3B mRNA変異体のNMDを引き起こす。患者から採取したリンパ芽球細胞系を用いたタンパク質ブロット解析の結果、2つの家系でUPF3Bタンパク質が欠失していることがわかった。UPF3Bタンパク質はNMD監視機構の重要な因子である。我々の結果はヒトの疾患におけるNMD異常を直接的に示すとともに、少なくともNMD経路の一部は重複していることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る