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腎疾患:MYH9は巣状分節性糸球体硬化症のリスクを上昇させる主要な遺伝子である

Nature Genetics 40, 10 doi: 10.1038/ng.226

アフリカ系祖先をもつ集団で報告される慢性腎臓疾患や末期腎臓疾患(ESKD)の罹患率上昇の原因は、ほとんど明らかになっていない。突発性の、HIV-1感染にともなう巣状分節性腎臓糸球体硬化症(FSGS)の易罹患性をもたらす遺伝子多型を同定するため、アフリカ系アメリカ人のFSGS罹患者190人と健常者222人に対して、混合マッピング・連鎖不平衡解析によるゲノムスキャンを行った。その結果、ゲノムワイド連鎖解析でのロッドスコア[尤度比(オッズ)の常用対数]が9.2で、MYH9の中央に位置するピークのロッドスコアが12.4である、22番染色体の領域を同定した。MYH9は、腎臓糸球体足細胞で発現し、この疾患の主要要因と考えられる遺伝子である。MYH9内の複数のSNPとハプロタイプがFSGSに劣性で疾患に関連しており、エクソン14から23に広がるハプロタイプが最も強く関連していた(OR=5.0、95% CI=3.5-7.1、P=4x10-23n=852)。この関連は高血圧性ESKDにもみられるが(OR=2.2、95% CI=1.5-3.4、n=433)、2型糖尿病性ESKDにはみられなかった(n=476)。MYH9遺伝子座位における遺伝子多型は、アフリカ系アメリカ人にみられるFSGSおよび高血圧性ESKD感受性の上昇を実質的に説明している。

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