Letter

穀物収量:イネ栽培化の過程で、粒大関連遺伝子の欠失によって収量が増加した

Nature Genetics 40, 8 doi: 10.1038/ng.169

作物の栽培化は、人為選抜をともなう植物進化の複雑なプロセスであり、農業上重要な形質を調節するDNAの変化をともなう。本論文では、米穀の粒厚決定に関与する新たに同定されたQTL、qSW5QTL for seed width on chromosome 5)のクローン化を行ったことを示す。詳細なマッピング、相補性検定、および相関解析により、qSW5遺伝子の欠失がイネの花の外苞穎で細胞を増加させることによってシンク(貯蔵器官)のサイズを有意に増大させていることが見いだされ、米穀の収量を増加させるために古代の人類がこの形質を選択してきた可能性が考えられた。また、さまざまなイネ在来種のゲノム領域のRFLP多型パターンと、qSW5に加えて、さらに、2つのイネ栽培化関連遺伝子の機能を欠損させた塩基多型を統合した遺伝多型地図を作成した。この解析結果は、イネ栽培化における、人為選択、栽培地域拡大、および自然交雑過程で、qSW5の欠失が重要な歴史的役割を担ったことを示すものであり、イネ栽培化が鍵となる遺伝子の変化レベルで明らかになりつつあることを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度