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メタボリック症候群:創始者集団の出生コホートにおける代謝に関する体質のゲノムワイド関連解析

Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.271

長期コホート研究のゲノムワイド関連解析(GWAS)では、複雑な形質にあたえる環境的影響と遺伝的影響を同時に解析することが可能である。本論文では、最もよく遺伝的に隔離されたフィンランドの地域に由来する北フィンランド出生コホート1966(NFBC1966)において行われた、代謝に関連する9つの量的形質(中性脂肪、高比重リポタンパ質、低比重リポタンパク質、血糖、インスリン、C反応性タンパク質、ボディマス指標、収縮期および拡張期血圧)のGWAS解析の結果を報告する。これらの形質に対して、すでに報告された関連のほとんどについて追試を行い、さらに9つの新しい関連を同定し、これらのうちいくつかは代謝機能にかかわる遺伝子であった。すなわち、高比重リポタンパク質とNR1H3LXRA)、低密度リポタンパク質とARおよびFADS1-FADS2、血糖とMTNR1B、インスリンとPANK1である。これらの新しい関連のうちの2つは、ホディマス指標の結果を補正した後に現れたものである。遺伝子-環境相互作用解析の結果、新しい関連が示唆されたが、これらはより大きなサンプルで検証する必要がある。現在同定されている座位は、定量化された環境暴露において、NFBC1966の形質の差異をほとんど説明することができなかった。低比重リポタンパク質とARの稀な多型の間に観察された関連から、このような集団が、弱い影響力をもつありふれた量的形質座位だけでなく、強い影響力をもつ稀な量的形質座位との関連を同定するのにも有効であることが示唆された。

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