Letter 糖尿病:MTNR1Bのありふれた多型は2型糖尿病のリスク増と早期のインスリン分泌低下に関連する 2009年1月1日 Nature Genetics 41, 1 doi: 10.1038/ng.288 ゲノムワイド関連研究によって、MTNR1B(メラトニン受容体1B)の多型がインスリン濃度とグルコース濃度に関連することが示されている。本論文では、2つの大規模な前向き研究から、このSNPのリスク遺伝子型が将来の2型糖尿病(T2D)を予測することを示す。特に、リスク遺伝子型は、経口および静脈の両方からのグルコースに対する早期のインスリン応答の低下と、時間が経過した際のインスリン分泌の急速な低下に関連していた。我々はまた、MTNR1B mRNAがヒトの膵島に発現していることも示し、免疫細胞化学によっておもに膵島のβ細胞に発現が局在していることを確認した。このリスク対立遺伝子をもつ非糖尿病の人およびT2Dの人は、膵島でこの受容体の発現が増加していた。グルコースに応答したクローンβ細胞からのインスリンの放出はメラトニンの存在で抑制された。これらのデータから、循環ホルモンであるメラトニンは、脳の松果体からおもに放出されるが、T2Dの発症機序に関与することが示唆される。T2Dのリスクがある人でMTNR1Bの発現が増加することを考えると、病因となる効果はβ細胞への直接の抑制効果を介して発揮されるようである。これらの結果から、メラトニンのリガンド-受容体系の阻害がT2Dの治療法となる可能性があると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る