Letter 潰瘍性大腸炎:ゲノムワイド関連解析により、日本人集団における潰瘍性大腸炎の3つの新規感受性遺伝子座を同定 2009年12月1日 Nature Genetics 41, 12 doi: 10.1038/ng.482 潰瘍性大腸炎は複雑な症状を伴う炎症性腸疾患の主要型の1つである。これまでの研究から、潰瘍性大腸炎の発症機序には遺伝的な寄与があることが示されているが、この疾患の感受性に影響を与える遺伝子が十分解明されているわけではない。本論文では、潰瘍性大腸炎のリスクに寄与する遺伝要因を同定するために、潰瘍性大腸炎の日本人1,384人と対照3,057人を用いて、2段階のゲノムワイド関連解析とそれに続いて再現性試験を行った。予測されていた主要組織適合性複合体(MHC)領域との強い関連に加えて、3つの新規感受性遺伝子座が同定された。つまり、免疫グロブリン受容体遺伝子FCGR2A(rs1801274、P=1.56×10−12)、染色体13q12の遺伝子座(rs17085007、P=6.64×10−8)、糖タンパク質遺伝子SLC26A3(rs2108225、P=9.50×10−8)である。rs1801274はFCGR2Aの非同義SNPであり、IgGの受容体結合親和性に重要な影響を与えること、また、他の自己免疫疾患に関連することが報告されている。我々の知見は潰瘍性大腸炎発症の分子機序を解明する手がかりとなるものである。 Full text PDF 目次へ戻る