Letter 移植免疫:移植片対宿主病における頻度の高い遺伝子欠失多型のドナーとレシピエント間の不適合 2009年12月1日 Nature Genetics 41, 12 doi: 10.1038/ng.490 1つの体内に2つの二倍体ゲノムが存在することになる移植や妊娠では、それぞれの場合に、一方の人の免疫細胞が他方の人のゲノムにコードされる抗原を標的とする疾患が引き起こされることがある。そのような疾患の1つである、造血幹細胞移植(HSCT、あるいは骨髄移植)後の移植片対宿主病(GVHD)は、HLA一致同胞間の移植後でさえもよくみられる。これは、HLA遺伝子座外に明らかになっていない組織適合性遺伝子座が存在することを示している。ある遺伝子欠失がホモ接合性であるゲノムをもつ人の免疫系は、その遺伝子によってコードされるエピトープをアロ抗原として認識する可能性がある。3つのHSCTコホート(1,345のHLA同一同胞ドナー-レシピエント対)において、頻度の高い遺伝子欠失を解析すると、GVHDの影響を受ける組織に発現しており、多数の組織適合性抗原を生じる遺伝子である、UGT2B17のホモ接合性欠失が、ドナーとレシピエント間で不適合であった場合に、急性GVHDのリスクがより大きいことがわかった〔オッズ比(OR)=2.5、95%信頼区間(CI) 1.4-4.6〕。ヒトゲノム構造の多様性は、同種免疫異常の機構である可能性があるため、調べる価値があるものである。 Full text PDF 目次へ戻る