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睡眠の遺伝的多型:共調される転写ネットワークがショウジョウバエ(Drosophila)の睡眠に自然に存在する遺伝的差異に寄与する

Nature Genetics 41, 3 doi: 10.1038/ng.330

睡眠障害はヒトでは一般的な疾患であり、また、睡眠不足は肥満と糖尿病のリスクを増す。ショウジョウバエ(Drosophila)での研究から、睡眠を調節する分子経路と神経組織が明らかになっている。しかし、自然個体群にみられる睡眠の遺伝的差異を維持する遺伝子は知られていない。本論文では、ショウジョウバエの40の野生型由来系統で睡眠の特徴を明らかにし、睡眠構造において遺伝的なバリエーションが豊富に観察されたことを報告する。睡眠と遺伝子発現のゲノムワイドなバリエーションとを関連づけ、候補遺伝子を同定した。CatsupCatecholamines up)の分子多型が、睡眠の多様性に関連していること、また、4つの候補遺伝子のPエレメントの変異が睡眠と遺伝子発現に影響を与えることを先の実験とは独立して確認した。生物学的妥当性にもとづき分類された睡眠に関連する転写産物は、遺伝的な転写モジュールと相関した。我々は、Pエレメント変異系統を用いて、共調節される遺伝子発現を確認した。自然に存在する表現型の多様性を量的遺伝学的に解析することは、候補遺伝子や候補経路を明らかにする効率的な方法である。

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