Article 量的形質:アジア人集団の大規模ゲノムワイド関連研究によって8つの量的形質に影響を与える遺伝要因が明らかになる 2009年5月14日 Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.357 生物医学的重要性をもつ量的形質に影響を与える遺伝要因を同定するために、韓国で募集された集団にもとづくコホートの8,842サンプルにおいてゲノムワイド関連研究を行った。身長とBMIについては、検出されたほとんどの多型がヨーロッパ人のサンプルで報告されたものと重なっていた。調べた他の形質については、独立した7,861の韓国人サンプルにおいて、これまでには知られていない6つの遺伝子座に有望なGWASシグナルの再現性が得られた。脈拍数については、ゲノムワイドな有意性に達するシグナルが染色体1q32(rs12731740、P=2.9×10−9)と6q22(rs12110693、P=1.6×10−9)に位置決定された(後者rs12110693はGJA1のコード配列からおよそ400kbの位置に存在する)。収縮期血圧については、最も強力な関連は染色体12q21に位置決定されるATP2B1遺伝子近傍の多型(rs17249754、P=1.3×10−7)にみられた。ウエスト・ヒップ比については、染色体12q24の多型(rs2074356、P=7.8×10−12)が確実に関連を示したが、その領域の転写産物には生物学的に有力な候補となるものはみられない。また、複数の部位の骨密度に影響を与える2つの遺伝子座が同定された。染色体7q31では、rs7776725(FAM3C遺伝子内)が、橈骨(P=1.0×10−11)、脛骨(P=1.6×10−6)および踵骨(P=1.9×10−10)での骨密度との関連を示した。染色体7p14では、rs1721400(frizzledタンパク質遺伝子であるSFRP4の近傍に位置決定される)が、同じ3つの部位での骨密度と一貫して関連を示した(それぞれP=2.2×10−3、P=1.4×10−7およびP=6.0×10−4)。以上のように、特徴が明らかになっている韓国人集団にもとづくサンプルの大規模GWA解析から、これまでには知られていなかった生物学的経路が明らかになる。 Full text PDF 目次へ戻る