Letter 難聴:miR-96のENU誘発変異はマウスの進行性難聴と関係がある 2009年5月14日 Nature Genetics 41, 5 doi: 10.1038/ng.369 進行性難聴はヒトにおいてよくみられるが、その分子基盤についてはほとんどわかっていない。我々は、Mirn96のシード領域に一塩基置換をもつ、N-エチル N-ニトロソウレア(ENU)誘発変異マウスのディミヌエンド(diminuendo)について報告する。ヘテロ接合体は、進行性の難聴と有毛細胞の異常を示し、ホモ接合体では蝸牛反応がまったくなかった。ほとんどのマイクロRNAはmRNAの特定の場所に結合し、標的遺伝子を抑制すると考えられている。したがって、シード領域の変異によって標的遺伝子の発現が増強するはずである。マイクロアレイ解析により、ホモ接合体で96の転写産物が有意に変化していた。特に、Slc26a5、Ocm、Gfi1、Ptprq、Pitpnm1は発現が抑制されていた。超幾何学的P値解析では、何百もの遺伝子の発現が増強していた。ところが、変異体のシードと相補的な別の標的遺伝子の発現は抑制されていた。これは難聴と関係することがわかった初めてのマイクロRNAであり、ディミヌエンドは、難聴における進行性有毛細胞変性を理解する一般的なモデルとなり、また治療の開発へと結びつく可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る