Article 遺伝的多様性:超並列シーケンサーを用いた日本人の全ゲノム塩基配列決定と包括的多様性解析 2010年11月16日 Nature Genetics 42, 11 doi: 10.1038/ng.691 超並列シーケンサーを用いて、1人の日本人男性の塩基配列をx40のカバー率で解析したので報告する。99%以上のシーケンスリードが、ヒトゲノム参照配列にマッピングされた。ベイズ決定法を用いて、3,132,608個のSNV(single nucleotide variation:一塩基多様性)を同定した。既報の6人のゲノム配列との比較の結果、シングルトン(1染色体にしか出現しない多様性)のナンセンスおよび非同義SNVに加え、保存された非コード領域のシングルトンSNVが多いことがわかった。また、コピー数の多様性とゲノム再編成に加えて、10kbより小さい5,319の欠失を高精度で同定することができた。ヒトゲノム参照配列に対応させられなかった配列を新たにアセンブルしたところ、約3Mbの新しい配列が得られ、これは参照配列でないヒトゲノム配列およびヒトヘルペス4型のゲノム配列と、高い類似性を示した。今回の解析は、ヒトゲノム中にはまだかなり多くの配列の多様性が見つからずに残っていることを示唆しており、また全ゲノム塩基配列決定は、ヒトの遺伝的多様性を完全に理解する上で非常に貴重なツールであることを示唆している。 Full text PDF 目次へ戻る