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大腸炎:ゲノムワイド関連解析によって潰瘍性大腸炎の感受性部位が複数同定された

Nature Genetics 42, 4 doi: 10.1038/ng.549

潰瘍性大腸炎は、消化管にみられる慢性の再燃性炎症性病態で、複雑な遺伝要因および環境要因によって発症する。本論文では、潰瘍性大腸炎発症リスクの原因となる遺伝子変異を同定するために、潰瘍性大腸炎についての2種類のゲノムワイド関連解析と、これらと既報の関連解析のデータを合算した統合関連解析の結果について報告する。統合解析は総計で潰瘍性大腸炎患者2,693人、対照患者6,791人を対照とした。その結果、14の異なるゲノム領域(遺伝子座)に存在する59のSNPが、P値が10−5以下であるという疾患との有意な関連を示した。これらの領域のうち7つの領域では、ゲノムワイドにおける有意性を上回る関連を示した(P<5×10−8)。次に、これとは別個の、患者2,009人、対照1,580人からなるコホートの関連解析を行い、潰瘍性大腸炎と有意な関連を示す13のゲノム領域を同定した(P<5×10−8)。このような領域には、FCGR2A(免疫グロブリン受容体)、5p15、2p16、ORMDL3〔オロソムコイド1様タンパク質3(orosomucoid1-like 3)〕などがある。同時に、今までに同定されていた14の潰瘍性大腸炎感受性遺伝子座との関連を確認した。さらに、関連が今までに認められているクローン病の原因領域について調べたところ、ほぼ半分の関連が潰瘍性大腸炎とも関連を示した。今回の研究成果は、約30のゲノム領域が潰瘍性大腸炎と関係しているとみなすものであり、疾患の発症原因について手がかりを与えるものである。

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