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コピー数多型とDNA修復:ヒトの生殖細胞系列におけるCNVの切断点配列解読によって明らかになった突然変異の分布

Nature Genetics 42, 5 doi: 10.1038/ng.564

コピー数多型(CNV)の切断点について精密に特徴づけを行うことは、その機能の影響を評価するのにきわめて重要なものである。しかしながら、既知の生殖細胞系列のCNVについては、10%未満しか単一塩基レベルでの解読がなされていない。私たちは、以前に行ったアレイ使用のCNV発見実験で検出した血縁関係のない3人の全CNVデータセットから切断点の特徴づけを行った。標的領域をハイブリダイゼーションで捕捉後、454シーケンシング技術で配列解読するという方法を用いて、324のCNVの切断点について調べた。この中には315の欠失が含まれていた。今回の結果から、切断点の大きな特徴が2つ明らかになった。まず、70%の欠失切断点が1〜30塩基対のマイクロホモロジー(数塩基対の相同領域)を有しており、一方で、33%の欠失切断点は1〜367塩基対の挿入配列を含んでいた。マイクロホモロジーと挿入配列の共起はほとんどなく(10%)、少なくとも2つの異なった変異に関するメカニズムがあることが示唆される。また、およそ5%の切断点が、局所的な数塩基対レベルの逆位(マイクロインバージョン)のような、より複雑な再構成を表しており、複製におけるDNA鎖の切り換えの機構の存在が考えられる。DNA修復機構に関する豊富な文献にもかかわらず、これらの変異のそれぞを引き起こす分子のイベントについて整理するのはまだ可能になっていない。

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