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認知症:16p12.1に存在する複雑で大きい構造多型が微小欠失変異による病気の危険性の背景となっている

Nature Genetics 42, 9 doi: 10.1038/ng.643

染色体の部分的な重複の進化と、ヒトの病気に関連した遺伝子再編成の間には、込み入った関係がある。認知症と関連する染色体16p12.1上の一領域を詳細に解析し、ヒトの標準ゲノムデータベースとは構造的に一致しない大領域を同定した。さまざまなゲノムを解析すると、調べた限りヒトではすべて、16p12.1の1.1Mbの領域が、標準のゲノムデータベースと比べて、ホモ接合体の逆位になっていた。この標準ゲノムデータベースとの違いは、17.6%(S1)と82.4%(S2)の頻度で世界中にみられる、2つのありふれた染色体構成に由来していることを明らかにした。この多型は、部分的な重複として急速に組み込まれものが、2つの局所的な逆位として過去1,000万年にわたってヒトの系統で残ってきたものである。2つのヒトのハプロタイプには、333kbのさらなる重複配列の違いがあり、この配列はS2に存在し、S1にはない。注目すべきことに、S2の構成には同方向の重複があり、特にこの染色体が病気に関連した再編性を起こしやすいことが示唆される。

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