Letter 腫瘍:IDH1やIDH2の変異の体細胞モザイクはオリエール病およびマファキ症候群における内軟骨腫と紡錘細胞血管腫に関連する 2011年12月1日 Nature Genetics 43, 12 doi: 10.1038/ng.1004 オリエール病とマファキ症候群は、多発性内軟骨腫(オリエール病)と紡錘細胞血管腫の合併(マファキ症候群)を特徴とする非遺伝性の骨障害である。我々は、内軟骨腫(良性軟骨腫瘍)の87%および紡錘細胞血管腫(良性血管病変)の70%に、IDH1あるいはIDH2のヘテロ接合性体細胞変異が見られることを報告する。IDH1では、R132C置換をコードするc.394C>TとR132H置換をコードするc.395G>Aであり、IDH2では、R172S置換をコードするc.516G>Cである。合計で、オリエール病患者43人のうち35人(81%)とマファキ症候群患者13人のうち10人(77%)の腫瘍に、IDH1(98%)あるいはIDH2(2%)の変異が見られた。これらの患者16人のうち14人では、別々の病変部に同一の変異が見られた。IDH1 R132H変異型タンパク質を検出する免疫組織学的研究から、新生物内モザイクおよび体細胞モザイクが示唆された。軟骨腫瘍におけるIDH1変異は、いくつかの遺伝子の過剰メチル化および発現低下に関連した。また、このような変異は単発性内軟骨腫の40%や軟骨肉腫細胞株4株でも見られた。このことから、機能についての研究によって腫瘍形成におけるIDH1およびIDH2の変異の役割の評価が可能になると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る