Analysis 遺伝子量補正:哺乳類、線虫、キイロショウジョウバエにおけるX連鎖遺伝子発現量の補正に よる発現亢進についての証拠 2011年12月1日 Nature Genetics 43, 12 doi: 10.1038/ng.948 多くの動物種の性決定は性染色体による機構によって行われており、これを可能にするため遺伝子量補正システムが協調的に進化している。遺伝子量補正システムは、性差によるX染色体数の不均衡を正すだけでなく、単一対立遺伝子性のX連鎖型発現、および両対立遺伝子性の常染色体型発現に起因する細胞内の遺伝子量の不均衡も同様に、X連鎖遺伝子を倍量化することで補正すると仮定されている(「大野の仮説」と称される)。この仮説はX連鎖遺伝子それぞれの発現解析やマイクロアレイを利用したトランスクリプトーム解析の結果によって十分に裏づけられているものの、昨今のRNAシーケンシングおよびプロテオーム解析のデータはこれを支持するものではなかった。我々は、別個のRNA-seqデータを新たに得て、RNAポリメラーゼによる占有状況を調べ、さらに哺乳類、線虫、ハエのこれまでに報告された発現データの再解析を行った。今回の解析結果はX染色体における偏った遺伝子量を認めるもので、X連鎖遺伝子の発現を増量することでゲノム発現のバランスが取られているという仮説を裏づけている。 Full text PDF 目次へ戻る