Article 繊毛関連疾患:広範囲の繊毛関連疾患群においてTTC21Bは原因対立遺伝子、修飾対立遺伝子として働く 2011年3月1日 Nature Genetics 43, 3 doi: 10.1038/ng.756 繊毛の機能異常は、まとめて繊毛関連疾患と呼ばれる相互に重複した広い範囲の病的表現型をもたらす。この疾患群には遺伝的な重複がみられ、原因遺伝子が、臨床的に異なる疾患の修飾対立遺伝子になりうるという特徴をもつ。本研究では、繊毛内の逆向き輸送タンパク質IFT139をコードしている遺伝子TTC21Bの変異が、散発性の腎癆とJeune窒息性胸郭異形成症のいずれもの原因になることを示す。さらに臨床的に多様な繊毛異常症の大コホートとこれに対応する対照群において、TTC21Bの塩基配列を再決定したところ、稀な変化の頻度は同等であったが、in vivoおよびin vitroでの機能評価の結果は発病群で有意に増加を認め(P<0.003)、TTC21Bが繊毛関連疾患の約5%で病原性対立遺伝子として働いていることが示唆された。また遺伝的異常が、多様な繊毛関連疾患の原因として関与しつつ、他の疾患関連遺伝子群とトランスに相互作用することが示された。そして、飽和量の塩基配列再決定を行った後に、配列のすべての多様性について機能解析をすることにより、遺伝継承する疾患の遺伝的構造に関する知見が得られることが示唆された。 Full text PDF 目次へ戻る