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IgA腎症:ゲノムワイド関連解析によってIgA腎症の疾患感受性座位が同定された

Nature Genetics 43, 4 doi: 10.1038/ng.787

腎障害の世界的な主要因であるIgA腎症についてのゲノムワイド関連解析を行った。漢民族系中国人集団の症例1,194例、対照902例において関連を検出し、さらに、総計で症例1,950例、対照1,920例で構成される中国系コホートおよびヨーロッパ系コホートで関連の再現性を確認した。その結果、主要組織適合性複合体領域に3種類の座位、そしてそれ以外に、1q32染色体領域にCFHR1およびCFHR3の両方を含む欠失と、22q12領域に1つの座位をこの疾患の感受性座位として同定した。これらの座位はそれぞれ、ゲノムワイドな有意性を上回る関連を示した(P値は1.59×10−26から4.84×10−9。マイナー対立遺伝子オッズ比は0.63-0.80)。これらの5種類の座位は、疾患リスクの分散が4-7%で、さらにその個人間変動が最大で10倍であることを説明するものである。IgA腎症の発症を妨げる対立遺伝子の多くは、他の自己免疫疾患もしくは炎症性疾患のリスクを高め、また、IgA腎症リスク対立遺伝子頻度はアジア系、ヨーロッパ系、アフリカ系の集団間に見られる有病率の差とほぼ一致している。このことは、複雑な選択圧の存在を示している。

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