Letter ネフローゼ:GPC5の一塩基多型は後天性ネフローゼ症候群に関連する 2011年5月1日 Nature Genetics 43, 5 doi: 10.1038/ng.792 高度タンパク尿はネフローゼ症候群の主徴候の1つであるが、これまでの先天性ネフローゼ症候群についての研究から、ネフローゼ症候群では糸球体上皮細胞(ポドサイト)の機能不全が重要な役割を担っていることが示されている。同様に、後天性ネフローゼ症候群においても、ポドサイト障害が関連していると考えられている。本論文では、ゲノムワイド関連解析と再現性を確認するための追解析によって、ヘパラン硫酸グリコサミノグリカンの1つであるグリピカン5をコードするGPC5の多型と後天性ネフローゼ症候群の間に関連があることを明らかにした〔劣性モデルでのP値(Prec)=6.0×10−11、オッズ比=2.54〕。GPC5遺伝子多型のrisk alleleはGPC5をより高度に発現しており、腎臓においてはポドサイトに発現していることが確認された。さらに、ネフローゼ症候群マウスモデルにおいて、ポドサイト特異的なノックダウンやsiRNAの全身投与によりポドサイト障害が軽減された。このような知見は、GPC5がネフローゼ症候群の新規疾患感受性遺伝子であることを明らかにし、高度のタンパク尿を来たす糸球体疾患においてGPC5がポドサイト障害の有望な治療ターゲットとなることを示唆するものである。 Full text PDF 目次へ戻る