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神経変性疾患:DNMT1の変異は認知症ならびに難聴を伴う遺伝性感覚性ニューロパチーを引き起こす

Nature Genetics 43, 6 doi: 10.1038/ng.830

DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)は、維持型メチル化、遺伝子発現の調節、クロマチン構造の安定性に重要である。DNAのミスマッチ修復、分裂終了ニューロンにおける細胞周期の調節、ニューロン新生は、DNAメチル化による影響を受ける。本論文では、DNMT1に生じた変異によって、認知症および難聴を伴う1型遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーにおける中枢性ニューロン変性ならびに末梢性ニューロン変性が引き起こされることを明らかにする。全エキソーム塩基配列解析の結果、アメリカ人の2家系および日本人の1家系においてDNMT1変異c.1484A>G(p.Tyr495Cys)、ヨーロッパ人の1家系に3塩基の変化c.1470-1472TCC>ATA(p.Asp490Glu–Pro491Tyr)を同定した。すべての変異はDNMT1をクロマチンに結合させるための配列ドメイン(targeting-sequence domain)に含まれていた。これらの変異が生じた変異型DNMTはすみやかに分解を受け、メチルトランスフェラーゼ活性が低下し、細胞周期G2期におけるヘテロクロマチンへの結合が損なわれていた。結果として、ゲノム全体では低メチル化、そして特定領域特異的な高メチル化が起こる。上記の研究結果は、DNMT1の突然変異が、複雑な発症機序に関係しているメチル化の異常の原因となることを示すものである。今回明らかになったDNMT1の変異は、神経変性疾患研究における新たな方向性を示すものである。

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