Letter メチル化:卵母細胞と着床前の胚におけるCpGアイランドの動的なメチル化の様子 2011年8月1日 Nature Genetics 43, 8 doi: 10.1038/ng.864 生殖細胞で、CpGアイランド(CGI)がどのようにして、どの程度メチル化されるかを明らかにすることは、ゲノムインプリンティングとエピジェネティックな再プログラム化を理解する上できわめて重要である。この論文では、成熟卵母細胞においてメチル化されたCGIを1000カ所以上同定した。これは、私たちの知る限り、哺乳類の卵母細胞のエピゲノム全体像を解析した最初の報告である。これらのDNMT3AとDNMT3Lに依存してメチル化を受けるCGIは、メチル化されていないCGIと比較して、CpGの周期性を含めた塩基配列レベルの違いはなかった。これらのCGIは、活発に転写されている転写単位内に位置し、他の領域と比べてH3K4me3が低下していたことから、一般的に知られているメチル化と転写制御の仕組みを支持する結果であると言える。メチル化されたCGIのうち、受精後の再プログラム化を全く受けないものはほとんどないが、特に注目に値するのは、大部分が3.5日胚の胚盤胞期で不完全な脱メチルを呈している事である。この研究から、配偶子のCGIメチル化はゲノムインプリンティングにもっぱら関連しているわけではなく、着床前の胚のメチル化の状態を決定する強力な因子の 1つであることが示され、受精後の脱メチルの仕組みについては再考の必要性が示唆される。 Full text PDF 目次へ戻る