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肺小細胞がん:包括的ゲノム解析からSOX2が肺小細胞がんで高頻度にみられる増幅遺伝子であることが明らかになる

Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2405

肺小細胞がん(SCLC)は非常に悪性度の高い疾患で、予後は不良である。本論文では、36対の原発性ヒトSCLCと正常組織、17対の患者を一致させたSCLC細胞株とリンパ芽球様細胞株からなる、およそ53対の検体から、エキソーム、トランスクリプトーム、コピー数変化のデータを得た。また、4個の原発性腫瘍および23個のSCLC細胞株のデータも得た。その結果、SCLCにおいて、キナーゼ、Gタンパク質共役型受容体、クロマチン修飾タンパク質をコードする遺伝子をはじめとする、有意に変異がみられる遺伝子22個を同定したので報告する。SCLCでは、SOXファミリーに属するいくつかの遺伝子に変異がみられることがわかった。また、検体のおよそ27%にSOX2増幅がみられた。shRNAを用いてSOX2を抑制すると、SOX2増幅のみられるSCLC細胞株の増殖が阻害された。RNA塩基配列決定から、複数の融合転写産物および頻発するRLF-MYCL1融合が明らかになった。RLF-MYCL1融合のみられるSCLC細胞株においてMYCL1をサイレンシングすると、細胞増殖が低下した。これらのデータは、SCLCのゲノム変化の範囲の詳細な全体像を示し、治療的介入の標的となる可能性をいくつか明らかにするものである。

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