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皮膚疾患:エキソーム塩基配列決定による播種状表在性光線性汗孔角化症のMVK変異の同定
Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2409
播種状表在性光線性汗孔角化症(DSAP)は常染色体優性遺伝性の表皮の角化異常であり、その発症要因は不明のままである。DSAP患者の家系から抽出した非罹患者1人と罹患者2人に対してエキソーム塩基配列決定を行った。既存のSNPデータベース、8種類のHapMapのエキソームデータ、1000 Genomes Projectデータに対してフィルタリングをかけ、該当変異の機能的な意味合いを考慮した結果、これまでに連鎖が明らかになっている領域に存在する唯一の候補遺伝子として、メバロン酸キナーゼ遺伝子(MVK)が浮上した。家族性DSAP罹患者57人および散発性DSAP罹患者25人に対してSanger法による塩基配列決定を行い、それぞれの33%、16%にMVK変異を見つけた。本研究で同定された14のMVK変異のいずれも、DSAPに罹患していない676人においては検出されなかった。さらに、初代培養の表皮角化細胞(ケラチノサイト)を用いた機能解析から、MVKが、カルシウムに誘導される角化細胞の分化の調節に関与していること、そして、A領域紫外線(UV-A)照射で引き起こされる角化細胞のアポトーシスを起こらないようにしている可能性が示唆された。今回の研究成果は、DSAPの発症要因に関する理解を深めると期待される。