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環境要因:中国人における食道扁平上皮がんのゲノムワイド関連解析から複数の感受性座位と遺伝子−環境相互作用が明らかになる
Nature Genetics 44, 10 doi: 10.1038/ng.2411
食道扁平上皮がん(ESCC)について、ゲノムワイド関連研究(GWAS)と遺伝子-環境相互作用ゲノムワイド解析をESCC罹患者(症例)2,031人と対照2,044人に行い、さらに独立した症例8,092人と対照8,620人で検証を行った。その結果、9個の新規ESCC感受性座位を同定した。そのうちの7個(染色体4q23、16q12.1、17q21、22q12、3q27、17p13、18p11)には、有意な限界効果があり(P=1.78 × 10−39からP=2.49 × 10−11の範囲)、残りの2個(2q22および13q33)には、遺伝子−アルコール摂取相互作用にのみに有意な関連がみられた〔それぞれ、遺伝子−環境相互作用P(PG × E)=4.39 × 10−11、PG × E=4.80 × 10−8〕。ADHクラスターを含む4q23座位の各多型は、ESCCリスクとの関連において、有意なアルコール摂取相互作用を示した(PG × E=2.54 × 10−7からPG × E=3.23 × 10−2の範囲)。また、12q24のALDH2座位とESCCとの既知の関連を確認するとともに、ジョイント解析からは、ADH1BおよびALDH2のリスク対立遺伝子を両方持つアルコール摂取者は、これらのリスク対立遺伝子を持たないアルコール摂取者よりも、ESCCのリスクが4倍上昇していることが示された。歩研究の結果は、ESCCリスクに対する遺伝要因の直接的な寄与だけでなく、遺伝要因のアルコール消費との相互作用を介した寄与も浮き彫りにするものである。