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クロマチン:クロマチン構造の状態を組織特異的に解析し、
胚発生期におけるエンハンサー活性の時系列
シグネチャーを同定した

Nature Genetics 44, 2 doi: 10.1038/ng.1064

クロマチン修飾は遺伝子発現のさまざまな側面と関連しているが、発生期においての細胞運命の経緯に対する役割は依然として明らかでない。本論文では、新しく開発した手法によって、多細胞生物であるショウジョウバエDrosophila melanogasterの胚を用い、クロマチン構造の状態およびRNAポリメラーゼII(Pol II)の占有状況についての細胞型特異的な情報を得たので報告する。新手法は、クロマチン修飾と、エンハンサーの時空間的活性との関係について、直接的な評価を行うものである。発生に関与する活性型エンハンサーは、特徴的な様相のクロマチン構造をとっているというよりはむしろ、そのヒストン修飾やPol II占有状況は多様である。このような複雑さにもかかわらず、クロマチン構造のシグネチャー(特徴)とPol IIの存在位置とを組み合わせると、エンハンサー活性を新たに予測することは十分に可能である。Pol IIが動員されているクロマチン上の場所から、エンハンサー活性が生じるタイミングが簡単に予測でき、またその動員位置は転写因子がクロマチンに結合するタイミングや場所に左右されると思われる。クロマチン修飾は通常、複数のエンハンサーを含む広範な調節領域全体に起こる。一方、ヌクレオソームの位置取りやPol II占有状況の局所的な変化は個々の活性型エンハンサーの存在を表している。今回得られた細胞型特異的な情報から、刻々と変化するエンハンサーの使用状況が明らかになった。この新手法による解析は、発生を担う遺伝子発現ネットワークの解明に必須のステップである。

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