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甲状腺がん:TSHの低レベルと甲状腺がんリスクに関連するありふれた変異

Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1046

髄様がん以外の甲状腺がんのリスクに寄与する塩基配列変異を探索するため、27,758人のアイスランド人の甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルについてのゲノムワイド関連研究において、P<5×10–8で関連を示す22個のSNPに着目して解析を行った。これらのうちrs965513は、甲状腺がんとの関連が以前にも指摘されていた。これ以外の21個のSNPについて、561人のアイスランド人甲状腺がん患者(症例)と、40,013人に上る対照群に対して遺伝子型判定をした。甲状腺がんとの関連が示唆される変異(P<0.05)については、595例の非アイスランド人症例と2,604例の対照群に対して遺伝子型判定を行った。結果を合わせると、3つの変異が甲状腺がんと関連していることがわかった。すなわち、2q35上のrs966423
(OR=1.34、Pcombined=1.3×10–9)、8p12上の
rs2439302(OR=1.36、Pcombined=2.0×10–9)、および14q13.3上のrs116909374
(OR=2.09、Pcombined=4.6×10–11)である。
なお、rs116909374については、以前に報告されていた甲状腺がんのリスクを付与する変異との相関はない。8p12上のrs2439302は、シグナル伝達分子neuregulin 1をコードするNRG1の血液中での発現との間で高度の関連(P=9.1×10–91)が観察された。

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