Letter 肺炎球菌:肺炎球菌のゲノムの塩基配列決定により、 多数の断片間の組換え反応により形成された、ワクチンの作用を免れる変種を追跡する 2012年3月1日 Nature Genetics 44, 3 doi: 10.1038/ng.1072 肺炎連鎖球菌(肺炎球菌)Streptococcus pneumoniaeは推定1,450万件の重篤な病気の原因となっており、毎年、82万6,000人の5歳未満の小児を死に至らしめている。2000年に米国では、効果の優れたPCV7肺炎球菌ワクチンが導入されたが、このことにより、重大な病原菌が、ワクチンに誘起された選択圧を広範囲に広めていく過程の研究を図らずも行う機会が与えられた。ここでは、米国内の調査プログラムから、単離された62種の菌体を用いて、マイクロアレイによる塩基配列決定を行い、ワクチンを回避した5例の独立した組換え体について調べた。その結果、多数の、大概は巨大な(少なくとも44kbに達する)DNA断片が同時に転移していたことが明らかになった。このような新しい1つの株は急速に確立し、米国全体にわたり東から西へと広がっていったことが示された。これらの知見からは、肺炎球菌の集団ゲノムにおける組換え反応と選択の役割が明らかになり、ゲノム学と疫学的な情報を組み合わせるという原理が、感染症の監視と理解を深めるうえで、非常に有意義であるという証拠となる。 Full text PDF 目次へ戻る