Letter 繊毛疾患:CCDC103変異は繊毛のダイニンアームの集合を妨げることにより一次繊毛の運動異常を引き起こす 2012年6月1日 Nature Genetics 44, 6 doi: 10.1038/ng.2277 繊毛は受精、気管の清浄化、脳脊髄液の循環、左右の分化を作り出すのに必須である。繊毛の運動障害は原発性繊毛ジスキネジア(PCD、MIM244400)の原因となる。この疾患は、生産児に1:15,000〜30,000の割合で生じる。繊毛の運動には繊毛の屈曲にかかわる多数のサブユニットからなるダイニンアームが必要である。PCDの遺伝学的基盤への理解は進んできているものの、PCDに連鎖するいくつかの遺伝子座のどこに変異があるかには、まだ同定されていない。ここでは、ゼブラフィシュの繊毛が麻痺した変異schmalhans(smhtn222)は、コイルドコイルドメイン(Ccdc103)をコードしていることを示す。このドメインは、103個のタンパク質からなり、foxj1a遺伝子に調節される遺伝子産物である。血縁のないPCDの146家系をスクリーニングして、CCDC103遺伝子中に変異を持ち、外側のダイニンアームの減少を伴った人が存在する6つの家系を同定した。smh変異をもったゼブラフィシュのダイニンアームの構築は、野生型によって相補できたが、ヒトの変異型CCDC103は相補できなかった。クラミドモナスのCcdc103/Pr46bは強く結合した、軸糸会合タンパク質として機能する。これらの結果からCcdc103はダイニンアーム結合因子で、変異を起こすと原発性繊毛ジスキネジアの原因となることが明らかになった。 Full text PDF 目次へ戻る