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肝臓がん:肝細胞がんのゲノムワイドな解析により、HBVがゲノムに繰り返し組み込まれていることがわかった

Nature Genetics 44, 7 doi: 10.1038/ng.2295

B型肝炎ウイルス(HBV)の肝臓がんゲノムへの組み込みを調べるために、81のHBV陽性肝細胞がん(HCC)と7つのHVB陰性HCCならびに、近傍の正常組織に対して、大量並列塩基配列決定を行った。その結果、HBVの組み込みが腫瘍において(86.4%)、近傍の肝臓組織(30.7%)より頻繁に観察されることを見つけた。コピー数多型(CNV)は、染色体の不安定性が誘導されたと考えられるHBVの切断点領域において有意に増大していた。HBVゲノム中の切断点の約40%は、ウイルスエンハンサーであるX遺伝子とコア遺伝子が存在する1,800塩基対の中に位置していた。また、(4つ以上のHCCにおいて)HBVの組み込みが繰り返し起こっていることを同定し、RNA塩基配列決定(RNA-seq)とサンガー法塩基配列決定を行うことにより、既知のがん関連遺伝子と、がん関連候補遺伝子であるTERTMLL4CCNE1が、正常組織に比べてがん組織で発現が上昇していることを確認した。またHBVの組み込みの数が患者の予後と関連することを示唆する所見を認めた。

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